アジアの"いま"

鈴木 博
2021/07/14 13:02
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 アジア経済研究所が毎年発行しているアジア各国の動向についての報告書です。カンボジアを含むアジア23か国・地域の2020年の動向について、国別に政治、経済、対外関係にわたって分析されています。また、「2020年のアジア-深刻さを増す不確実性」、「アメリカとアジア-新型コロナウイルス感染症拡大下での米中対立の継続と政権交代」を取り上げ、アジア情勢の総合的な分析も行われています。

 カンボジアについては、アジア経済研究所の初鹿野直美先生が執筆されています。国内政治については、「新型コロナウイルス感染症を封じ込めるべく、学校の閉鎖や正月連休の延期、また国境での隔離措置などを徹底し、その拡大を最小限にとどめた。一方、非常事態法を制定するなど強権的な体制の強化が粛々と進められた。対外関係においては、中国と連携して新型コロナウイルスに対処した。」と分析しています。

 国内経済については、「人権状況悪化を理由とした欧州連合(EU)による特恵関税「武器以外すべて」(EBA)の一部適用取りやめ、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大、そして10月の大規模洪水発生の影響などにより、大きな困難に直面した。」としています。

 2021年の課題としては、政治面では、2023年総選挙に向けたせめぎあいが本格化していく中で、とくに野党勢力、旧救国党指導者たちが政治活動に復帰できるかが注目されるとしています。経済面では、は GDP 成長率は4%程度への回復が見込まれているが、難しい状況が続くと見ています。新型コロナウイルス感染症が収束し、中国人投資家や観光客が戻ってくることへの期待は高いが、2021年に入ってから再度感染が拡大しており、死者も発生するなど先行きは不透明であると分析し、市場を多角化させつつ、国内産業の育成がより重要となる指摘しています。対外関係では3

年連続で行われてきた中国との合同軍事訓練を2021年は実施しないことが発表されましたが、米国やその他の国々とのバランスを取り直す一歩となるのか、慎重に見極める必要があるとしています。

 この他、重要日誌、参考資料、主要統計等のデータも満載です。全文がネットで公開されていますので、ぜひご覧ください。

アジア動向年報2021

https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Books/Doko/2021.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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