アジアの"いま"

鈴木 博
2019/04/17 13:22
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 アジア開発銀行(ADB)は、4月3日に「アジア経済見通し2019年(Asian Development Outlook (ADO) 2019)」を発表しました。

 カンボジア経済は引き続き順調に成長するものと見られ、2018年のGDP成長率は7.3%(前回予測7.0%)、2019年7.0%(前回予測7.0%)、2020年6.8%と予測されています。先進国や中国の景気後退を受けて、輸出、建設、観光等に影響が及ぶと見られ、今年・来年の成長は2018年を下回るものの、カンボジアのGDP成長率は、輸出、観光、国内需要等により引き続き7%前後を維持するものと見られます。

 2018年の輸出は18.3%増と好調でした。観光セクターも、2018年の中国人観光客が70.0%も増加したことに支えられて、訪問客数は10.7%増と好調でした。

 物価上昇率は、国際原油価格の上昇にも関わらず、2018年2.5%と安定的でした。このため、2019年の物価上昇率を2.5%(前回予測3.0%)、2020年を2.5%と、予測を引き下げました。

 経済の好調により、輸入も拡大しており、経常収支の赤字(対GDP比)は、2018年13.6%(前回予測12.1%)、2019年12.7%(前回予測11.8%)、2020年11.8%と若干増加するものと見られます。しかし、外国直接投資が好調のため、総合収支は黒字を維持しています。このため、外貨準備は2018年末現在で100億ドル(約1兆1100億円)と輸入の5.6か月分以上と十分なレベルにあり、2019年末には120億ドル(約1兆3300億円)を突破するものと見られます。

 リスクとしては、対外要因は、予想以上の世界経済の後退、EUの特恵関税停止等を挙げています。国内要因としては、信用残高の対GDP比率の上昇と干ばつを挙げています。また、課題としては、これまでの低賃金に頼った経済から脱するためにも、技術・職業教育・訓練(TVET)による人材育成の強化を求めています

アジア開発銀行のサイト(和文)

https://www.adb.org/ja/news/slower-global-demand-pulls-down-developing-asias-growth-prospects-adb y

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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