アジアの"いま"

鈴木 博
2022/02/02 09:36
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 1月11日、イオンモール株式会社、イオンモールカンボジアは、カンボジアにおいて、海外物流のプラットフォームとなる、同国初の多機能物流センター事業を展開することを決定したと発表しました。また、本事業の展開にあたり、イオンモールカンボジアの100%子会社となる「イオンモールカンボジア ロジプラス」を設立するとのことです。この事業では、シアヌークビル港経済特区に保税機能を含む越境EC事業者に必要なライセンス、および通関代行やフルフィルメントセンター機能を備えた多機能物流センターを設置、運営します。

 カンボジア政府は、経済成長施策の一環としてシアヌークビル港と隣接する経済特区の一部を自由貿易港として一体運用する構想を進めてきており、日本政府や国際協力機構(JICA)が支援してきました。イオンモールは、この構想の実現に向けた最初のパイロット事業者として、シアヌークビル港に隣接する経済特区内にカンボジア初の保税倉庫(敷地面積約3万平方メートル)を整備します。保税倉庫は輸入手続きが済んでいない外国からの貨物を保管するもので、保管中には関税などが課税されず、需給に応じ必要な量だけ通関手続きを経て持ち出せるものです。保税倉庫は、効率的な供給網の運用やコスト管理の観点で世界的に需要が高まっています。

 イオンモールでは、「カンボジアにおける各企業の物流課題を保税保管や通関代行などのサービスを通して解決するとともに、これらの取り組みを通して、お客さまの利便性向上と当社を含む多種多様な事業者への事業機会やサービスを提供、同国の更なる発展に貢献してまいります。」としています。

 シアヌークビル州は、中国からの集中豪雨的投資や中国人の増加により、「中国化」が進んでいます。近郊の海軍基地については、中国軍の進出も懸念され、米国も神経をとがらせています。その中で、日本の支援により拡充されてきたシアヌークビル港はカンボジアの唯一の深海港であり戦略的にも重要な港湾であるため、中国の影響下に置かれないようにすることは大変重要となっています。この観点からもシアヌークビル港に隣接する経済特区に日本の大手企業が入居することは、大きな意義があることであり、日本の官民が協力して今後もシアヌークビル港と経済特区への支援を継続していくことが期待されます。

イオンモールの新聞発表

https://www.aeonmall.com/NewsReleases/index/1670

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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