アジアの"いま"

鈴木 博
2023/10/24 20:55
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 新聞報道によりますと、プノンペン~シアヌークビル高速道路は、有料化された2022年11月から2023年9月までの11か月間で、利用台数が424万台に達し、通行料収入は3200万ドル(約48億円)となったとのことです。この高速道路は、2022年10月1日から試験運用が開始され、当初1か月間は、料金無料で開放されていました。

 プノンペンとシアヌークビルを結ぶ高速道路は、プノンペン近郊の環状3号線からスタートし、シアヌークビル近郊までを結ぶ片側2車線、総延長187キロメートルの高速道路です。カンボジア初の高速道路となります。プノンペン市内からシアヌークビルまで、これまで5~6時間かかっていたところを3時間程度に短縮しています。乗用車の高速料金は、シアヌークビルまでで片道12ドル程度です。

 中国政府系の中国路橋工程(CRBC)の現地法人のカンボジア・プノンペン・シアヌークビル・エクスプレスウエー(柬埔寨金港高速公路)が、BOT(建設・運営・譲渡)方式で受託しています。総工費は、20億1900万ドル(約2930億円)とされています。

 経営状況を含めて課題も多いと見られますが、カンボジアのような途上国ではこうした基盤インフラの整備による時間短縮効果は非常に大きいものがあります。シアヌークビル出張は、これまでは1泊が普通だったのですが、現在は、余裕で日帰りが可能です。しかし、9月に実走したところ、日曜日・月曜日でしたが、ミニバス、コンテナトラック等はほとんど見かけず、ガラガラの状況でした。一日平均1万3000台が利用しているようには見えませんでした。今後の利用状況、維持管理状況には、留意していく必要があるものと見られます。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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