アジアの"いま"

鈴木 博
2014/04/02 09:43
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カンボジア電力公社(EdC)では、2013年の乾季と違って、今年の乾季は停電が少なくなるものと予測しています。2013年の乾季は、電力不足による計画停電も実施され、NGOの集計によりますと停電回数は700回に及んだとされています。また、貧困層が多く住む地区の停電数が多く、富裕層が多数住む地区での停電は少なかったとの批判もありました。今年は、マレーシア系企業によりシアヌークビル(スタンハウ)に完成した石炭火力発電所(100MW)、中国支援によるローワーストゥンロッセイチュラム水力発電所(338MW)及びアタイ水力発電所(120MW)等が稼働する見込みです。ただし、水力発電所はダムのサイズが小さく、乾季には発電量が相当に減るものと見られます。

 

また、シアヌークビルとプノンペンを結ぶ送電線も日本の支援で完成しました。これらの電力設備の整備により、電力は量的には充足してきているとされています。しかし、公開されていないものの、これらの発電所の売電価格はかなり高価であり、カンボジアにとって最大のネックとなっている電力料金の引き下げにはつながらないものと見られます。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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