アジアの"いま"

鈴木 博
2020/07/15 12:08
  • Check

 6月24日、カンボジア政府は、新型コロナの影響を受けている貧困・脆弱世帯向け現金支援プログラムを開始しました。計画省によりますと、現金支援は、プノンペン、各州都、その他の3地域別に、対象世帯の貧困度「レベル1」と「レベル2」で、それぞれ支援額が規定されています。例えば、プノンペンと州都では、レベル1に該当する世帯に一律12万リエル/月(約3200円)が支給され、これに加えて家族1人当たり5万2000リエル/月、5歳未満の子ども、60歳以上の高齢者、障害者、エイズウイルス(HIV)感染者には、それぞれ4万リエル/月が支給されます。

 対象世帯数は、約56万世帯と見られます。政府は、このプログラムのために、毎月2500万ドル、総額1億2500万ドル(約134億円)の予算を確保しているとしています。また、7月2日の社会福祉省の発表によりますと、現金支給は6月25日に開始され、7月2日までには、対象世帯の8割に第1回の配布を終了したとしています。

 カンボジアではこうした現金支給の際には、汚職等の問題が起きることも懸念されますが、6月30日に、フン・セン首相は、不正を発見した場合、例外なく厳しく対処すると述べて、綱紀粛正を図っています。フン・セン首相は、こうした点に関する政治的嗅覚が鋭く、貧困層に対する支援は、選挙対策の面でも極めて重要であり、少しの不正でも大きく響くことを十分に理解しているものと見られます。報道によりますと、貧困世帯では、このプログラムに対する評価は高いものがあるとされています。

 新型コロナの影響で、カンボジア経済の主要エンジンである輸出、観光等が困難に直面しています。経済の落ち込みで、農村部の貧困層や都市のインフォーマル経済は大打撃を受けており、貧困世帯向け現金支援プログラムは時宜を得た対策と見られます。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA