アジアの"いま"

鈴木 博
2023/09/20 11:57
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 新聞報道によりますと、9月3日、カンボジア商業省のスポークスマンは、福島の処理水海洋放出に関連して、日本からの食品輸入制限等は全く考えていないと明言したとのことです。商業省のペン・ソビチア広報官は、日本からの水産品に対する制限を行わないとの決定は、日本が示している科学的根拠に基づくものだと述べています。水産品と処理水の海洋放出との関係を示すいかなる科学的根拠も存在しないとしています。

 中国は、科学的根拠を無視して、日本に対し経済的威圧とみられる根拠のない輸入制限や偽情報の流布を行っています。また、何の関係もない日本の民間人・企業に対して数万件もの嫌がらせ電話をかける等、不法・不当な行為を行っています。こうした行為は、風評被害を拡大させることにもつながりかねず、日本政府も遺憾であるとしています。なお、日本国内でも一部の議員や報道機関が科学的根拠を無視するだけでなく、風評被害を拡大させるような偏った発言や行動を行っていることは、大変残念です。
 「親中国」と言われることもあるカンボジアですが、処理水に関しては、中国とは一線を画して、科学的根拠に基づき理性的な判断を行っています。もちろん、日本とカンボジアがこれまで長期にわたって友好関係にあることや日本側の丁寧な説明も重要なポイントと見られます。カンボジアの科学的決定に深く感謝したいと思います。

外務省のサイト

https://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/inec/alps.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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