アジアの"いま"

鈴木 博
2023/08/30 19:13
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 8月7日、カンボジアのシハモニ国王は、フン・セン首相の長男であるフン・マネット氏(45)を次期首相に任命しました。7月23日の総選挙結果が8月5日に確定し、与党の人民党が125議席中120議席を獲得する圧勝となったことを受けたものです。8月22日に国会での承認後に正式に首相に就任しました。

 フン・マネット氏の人物像については、8月15日付日経新聞の高橋徹編集委員・論説委員の記事「39年ぶりの交代、カンボジア「世襲新首相」の人物像」が、的確に伝えています。

 同記事によりますと、フン・マネット氏は、フン・セン氏が1977年6月にベトナムへ亡命した4カ月後に生まれました。1995年の陸軍入隊と同時に米国へ留学し、1999年にカンボジア人で初めて米陸軍士官学校を卒業しました。2002年には米ニューヨーク大で経済学の修士号、2008年には英ブリストル大で同博士号を取得します。陸軍でもスピード昇進を続け、2018年に40歳の若さで事実上の国軍トップである陸軍司令官に登り詰めました。2021年末、父から後継指名を受け、党中央委員会で正式に次の首相候補に選出されました。

 華麗な経歴が示すのは、父の威光を背に将来を約束され、順調に歩んだエリートの姿そのものだとしています。しかし、苦労もし、様々な勉強もしているようで、「総じて伝わってくるのは、優秀かつ温厚、思慮深い人物像で「すぐにカッとなる父親とは正反対」という声すらある。」と分析しています。

 記事は、「父の監督下という「補助輪」をつけて走り出す新首相は、複雑な地政学情勢にもまれる小国の行方をどうかじ取りするのか。9月上旬にインドネシアで開かれる東アジア首脳会議で外交デビューし、その後も同下旬の米国での国連総会、12月に東京で予定される日本とASEANの友好協力50周年の特別首脳会議など、外交日程は目白押しだ。一連の国際舞台での振る舞いは、ひとつの試金石となるはずだ。」と結ばれています。

日本経済新聞8月15日(有料会員限定です)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1326X0T10C23A8000000/

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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