カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(Financial Action Task Force on Money Laundering: FATF)とビデオ会議を行ったと発表しました。会議にはカンボジア側関係者約60人と、日本を含む32か国・機関の代表が参加しました。NBCによりますと、カンボジアのマネーロンダリング・テロ資金対策の進捗が評価されたとしています。特に、改正マネーロンダリング・テロ資金対策法の施行、違反者の摘発努力等が評価された模様です。
FATFは、2019年2月にカンボジアを「戦略的欠陥はあるもののFATFと対応策を策定済の国」に分類しました。この分類は、一般に「グレー・リスト」と呼ばれており、カンボジアは、2015年に一度この分類から外れましたが、再びグレー・リスト入りしてしまったものです。なお、この下に「ブラック・リスト」があり、イランと北朝鮮が含まれています。
FATFは、これまでカンボジアに対し、不動産取引・カジノに対する監視強化、金融機関・送金機関に対する監視強化、技術的欠陥に対処するためのマネーロンダリング・テロ資金対策法の改正、マネーロンダリング監視のための体制強化、マネーロンダリングの取締り件数・訴追件数の目に見える増加、国連制裁措置を実施するための法規制・体制強化等を求めてきました。今回の会合の結果は、10月中に開催予定のFATFサミットに提出される予定であり、カンボジアがグレー・リストを脱出できるかが注目されます。
マネーロンダリングやテロ資金の技術は、日進月歩で進化しています。また、カンボジアでは、中国からの投資も盛んですが、その資金には様々なものが含まれていると言われます。また、カンボジアと北朝鮮は、長く友好関係にあり、プノンペンには北朝鮮の大使館も存在しています。カンボジア経済は高度にドル化しているため、ほとんどの取引がドルで行われ、市中にはドル現金が一般に流通していることもマネーロンダリングを行う側にとっては目をつけやすいところと見られます。FATFと協力しつつ、各種対策を順次進めていく必要性は高いものと見られます。