アジアの"いま"

鈴木 博
2019/05/21 13:03
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 5月9日、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングは、「カンボジアの通信事情 -民間活力の導入および競争の促進を通じた発展-」と題するレポートを発表しました。著者は、島村真澄先生です。

 カンボジアの通信については、「アジアやアフリカの開発途上国ではインターネットが繋がらない、接続が切れる、遅いといった不安定な通信環境に悩まされることがよくある。こうした中、カンボジアは比較的通信環境が安定しており、首都プノンペンから離れた地方部でも大変困ったという経験はほとんどない。」としています。その理由として、2002 年にデータ通信市場が自由化され、外資を含む民間資本がインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)として新規参入し、顧客の確保のため熾烈なサービス競争が展開され、各社さまざまなプロモーションや実質的な値引き合戦を繰り広げていることをあげています。また、カンボジアは、世界で初めて携帯電話の契約者数が固定電話の契約者数を上回った国といわれているとしています。携帯電話は、固定電話のように電話線の引込み等の工事や固定設備を必要とせず、手軽に利用を開始できるため、通信インフラ基盤が十分に整備されていなかったカンボジアでは、固定電話が普及する前に携帯電話が浸透したと分析しています。

 結論として、カンボジア政府による自由化・競争促進、民間企業による通信インフラ整備は、通信分野の発展に大きく寄与していると評価できるとしています。問題点としては、中国等の外国資本による基幹インフラ整備が全体の約97%を占めている状況であり、国家情報セキュリティの観点から、国の根幹を担う通信システムにここまで外資が入ってきて問題はないのか、といった懸念の声が出てきていると指摘しています。

三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングのサイト

https://www.murc.jp/report/rc/report/global_report/global_1905_1/
鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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