アジアの"いま"

鈴木 博
2019/07/17 17:35
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 6月28日、米政府は、シアヌークビルの中国資本のシアヌークビル経済特区で事業を展開する中国企業に関税回避の動きがあることが発覚したとして、カンボジア政府に調査するよう求めたとのことです。在カンボジア米国大使館の報道官は、6月19日に国土安全保障省がシアヌークビル経済特区(SSEZ)内の複数の企業を調査し、関税回避のため製品の積み替えを行ったことがわかり、罰金を科したと明らかにしていました。罰金の対象となった企業名や数、罰金額、製品の詳細は明らかとなっていません。一方、カンボジア商業省や経済特区側は事実でないと否定していました。商業省は、米国の要求を受けて再調査を行うとしています。

 米中貿易戦争の影響で、米国への輸出が厳しくなっている中国企業は、ベトナムやカンボジアで中国製品のラベルを張り替えて「ベトナム製」「カンボジア製」等と偽って、米国に輸出し関税を回避していると言われます。7月2日には、米国商務省は、韓国や台湾で生産した鋼材をベトナムで最終加工し、ベトナムから米国に輸出した一部の鉄鋼製品に対し、最大456%の関税を課すと発表しています。カンボジアも本件の取扱いを誤ると、米国への輸出に大幅な関税を課される可能性があります。また、カンボジア側の取締りが不十分であるとして、米国がカンボジアに認めている特恵関税を適用しないとする動きに大きな口実を与えることにもなりかねません。カンボジア政府には、中国企業をしっかりと取り締まる姿勢が期待されます。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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