アジアの"いま"

鈴木 博
2018/11/21 12:02
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 カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、自国通貨リエルの為替レート安定化やリエルの使用促進に関する国民の理解向上を通じて、リエルの信認性強化を図りたいとしています。カンボジアは、高度にドル化した経済であり、市中通貨の8割以上、銀行預金の9割以上が米ドルとなっています。一般の取引でもドルが普通に使われており、リエルは少額取引や農村部での取引等に使用されるだけとなっているのが現状です。
 中央銀行では、緩やかな脱ドル化を進めるためにリエルの使用促進を図っています。また、ドルを買ってリエルを売ることにより、市中にリエルの供給を行っています。中央銀行では、2107年には9億1500万ドル(約1030億円)をリエルで購入したとしています。ドル買いは、2017年中は合計125回、平均レートは4050リエル/ドルでした。
 中央銀行は、一般に通貨発行益を得ることができますが、カンボジアでは自ら発行したリエルでドルを購入することができる状況あり、大きな利益となっています。途上国では一般的に自国通貨の暴落を防ぐために外貨準備を積み上げておく必要がありますが、カンボジアでは、2018年末にはリエルの発行額の4倍以上にあたる100億ドル(1兆1300億円)以上の外貨準備を保有する見通しであり、リエルの為替レートが大きく変動する可能性は当面低いものと見られます。
 なお、中央銀行では消費者の金融知識を向上させるために「Let’s Talk Money」というキャンペーンを実施しており、この中でもリエル使用の利益を訴えていくとしています。

中央銀行の「Let’s Talk Money」のサイト(英文とクメール語)
http://www.talkmoney.info/en_US/

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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