アジアの"いま"

鈴木 博
2020/07/29 11:31
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 7月6日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、2020年半期経済報告を発表しました。カンボジアは、新型コロナの国内感染は抑え込んでいるものの、経済には大打撃を受けており、政府としては、経済・社会の持続性を維持するための政策を実施しているとしています。

 経済については、カンボジアは海外に依存している経済のため、観光、輸出、海外からの投資等が急速に悪化しているとしています。建設・不動産セクターも海外からの投資の減少で大幅な減速に直面しています。農業だけは、今のところ大きな打撃を免れているとしています。ただ、マクロ経済は安定しており、物価上昇率は2.5%と安定し、為替・国際収支も大きく変動しておらず、十分な外貨準備を維持していると強調しました。2020年上半期が終わっても、不透明な状況が続いており、2020年のGDP成長率はマイナス1.9%に落ち込むと予測しています。2021年はV字回復が期待されますが、観光や建設は短期間での回復は見込めないものと見ています。

 銀行セクターも困難な状況に直面しているものの、上半期には貸付・預金ともに伸びており、強靭性を示しています。NBCも銀行セクターのリスクを防ぐことに加え、経済活動を支援する政策を実施しています。預金準備率の引下げや、銀行セクターへの潤沢な資金供給等に加え、新型コロナの影響を受けた借入について柔軟な貸付条件変更を認めるように銀行を指導しています。ただ、カンボジアは高度にドル化された経済であるため、金融政策の有効性には限界があるとしています。なお、中央銀行としては、銀行監督に加え、電子決済システムの普及、一般向けの金融教育の拡充や、マネーロンダリング対策も続けていくとしています。

 カンボジア経済は、新型コロナの影響を受けて厳しい状況にありますが、カンボジア政府やNBCは、脆弱な貧困層や打撃を受けやすい産業への支援策を実施しています。しかし、世界経済の回復がない限り、カンボジア経済の本格的な回復も見込めない状況であり、カンボジア政府・NBCの継続的な対策実施と、それを支える国際社会の支援が期待されます。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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