アジアの"いま"

鈴木 博
2019/10/02 09:14
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 これまで停滞していたカンボジア株式市場が活況を呈しています。活況を牽引しているのは、シアヌークビル港湾公社株で、9月13日終値から9月20日終値の1週間で、28%(17,520リエル→22,500リエル)も上昇しました。また、プノンペン港湾公社株も、同時期に21%上昇しています(10,600リエル→12,780リエル)。

 約1年前の2018年9月末の終値と2019年9月20日の終値を比較すると下表のようになります。シアヌークビル港湾公社の株価は3.5倍に、プノンペン港湾公社株も2倍に、プノンペン上水道公社も2倍に高騰しています。また、IPO価格と比べると、シアヌークビル港湾公社の株価は4.5倍に、プノンペン港湾公社株も2.5倍となっています。

  2019年
9月20日終値
2018年
9月28日終値
上昇率 IPO価格 上昇率
  (リエル) (リエル) (%) (リエル) (%)
シアヌークビル港湾公社 22500 6400 252% 5040 346%
プノンペン経済特区社 2750 2800 -2% 2860 -4%
プノンペン港湾公社 12780 6400 100% 5120 150%
グランドツイン 4400 3020 46% 9640 -54%
プノンペン上水道公社 6240 3240 93% 6300 -1%

 昨年末以来の株価高騰の理由は、必ずしも明確ではありませんが、これまで株価・出来高とも低迷していたカンボジアの株式市場が若干上昇に動いたとたんに、国内・海外から資金が流入したものと見られます。

 カンボジアの株式市場は、まだ5社しか上場しておらず、市場規模もかなり小さいものです。しかし、カンボジアの企業にとって、証券市場からの資金調達は、金利の高い銀行融資よりも相当に魅力的なものです。外国人投資家の誘致を進めつつ、国内個人投資家を育成し、カンボジア株式市場を更に発展させていく努力が継続されることが期待されます。

カンボジア証券取引所のサイト

http://www.csx.com.kh/

免責事項:

カンボジアでの株式投資は、カントリーリスクや為替リスクも伴いますので、慎重かつ専門的な検討が必要です。記事に掲載された内容は、執筆時における弊研究所の見解・予測であり、情報の正確性や完全性について保証するものではありません。また過去の実績は将来の結果を保証するものでもありません。記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。弊研究所は有価証券価格や為替レート等の上昇または下落について断定的判断を提供することはありません。弊研究所は本メールの内容に依拠してお客さまが取った行動の結果に対し責任を負うものではありません。投資にあたってはお客さまご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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