アジアの"いま"

鈴木 博
2018/08/29 12:23
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 8月15日、カンボジア国家選挙管理委員会は、7月29日に投票された国民議会選挙の結果を発表しました。与党のカンボジア人民党が全125議席を占めるという圧勝に終わりました。
 登録有権者数838万217人に対し、投票者数は695万6900人となり、投票率は83.0%となりました。投票用紙にバツ印を付ける等して抵抗を示した有権者も多く、無効票は、59万4659票と全体の8.5%に達しました。
 与党人民党の得票数は488万9113票(有効票の76.8%)に達しました。野党の中では、フンシンペック党37万4510票(5.9%)、民主連盟党30万9364票(4.9%)等が健闘しましたが、議席獲得には至りませんでした。また、期待された草の根民主党は、7万567票(1.1%)に留まりました。
 今回の選挙では、最大野党の救国党が解党され、政権に批判的なマスコミが様々な形で圧力を受ける等、政権側の強権的な手法がとられたため、欧米を中心として強い批判が寄せられました。残念ながら、中国を後ろ盾としたフン・セン政権は、強気の態度を崩さず、結果的には全議席を占めるという圧勝でした。
 今後は、組閣に注目する必要があります。フン・セン首相としては、とりあえず選挙圧勝という目的を果たしたこともあり、海外からの圧力も考慮して穏健的な政策をとることが期待される反面、圧勝した人民党内部では強気の発言も多く、内外のバランスに配慮していくものと見られます。
 日本としては、カンボジアが中国に傾き過ぎず、また、中国をモデルとした真の意味での独裁・弾圧国家にならないよう、硬軟両用で様々なチャンネルを通じて穏健に対話を継続していくことが期待されます。なお、今回の選挙では、様々な圧力により人民党に投票せざるを得なかった有権者もいたものと見られますが、フン・セン政権を積極的に支持している有権者も相当の割合に達しているという事実には、しっかりと向き合い、十分に配慮を重ねる必要も高いものと見られます。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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