アジアの"いま"

鈴木 博
2022/08/31 09:12
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 8月15日、カンボジア政府系の農業農村開発銀行(ARDB)は、3つの民間金融機関と借款契約に調印しました。民間金融機関は、カンボジア郵便銀行、チャムロン・マイクロファイナンス、AMKマイクロファイナンスの3機関です。本件は、世界銀行が支援する「カンボジア農業セクター多様化事業」(Cambodia Agricultural Sector Diversification Project:CASDP)の一環で実施されるものです。世界銀行が支援した3000万ドル(約41億円)の資金を活用して、農業農村開発銀行から民間金融機関に貸付を行い、民間金融機関はその資金を低利で小規模農家、中小農業企業、農業協同組合等に貸付を行うというスキームとなっています。

 カンボジアは、比較的平坦な広大な土地、熱帯の気候、十分な雨量等に恵まれており、農業開発のポテンシャルは高いと言われています。しかし、農家や農村部の中小企業は、脆弱な状況に置かれており、特に金融へのアクセスが課題となっています。こうした中で、低利の貸付をツーステップで行うことは、借入を行う農家や中小企業だけでなく、農村部で貸付を行っている民間金融機関にとっても大きな効果が期待できるものです。農業開発に向けたこうした地道な活動が継続されていくことが期待されます。

農業農村開発銀行の発表(英文です)

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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