アジアの"いま"

鈴木 博
2023/06/28 17:31
  • Check

 新聞報道によりますと、カンボジアの金融業界では、「富裕層」の獲得競争が起きており、富裕層の顧客獲得のための特別チームや部署を拡充する方向にあるとのことです。金融業界筋によりますと、富裕層(金融資産100万ドル以上)の顧客は、一般顧客の50~100人分の取引をもたらすとしています。カンボジアでは、明確な統計はないものの、プノンペンを中心として過去10年間で富裕層が大幅に増加したとしています。また、外国人富裕層もカンボジアで事業を実施したり、カンボジアへ投資したりすることに興味を有しており、こうした外国人富裕層を獲得することも重要となっている模様です。

 日本では、野村総研が純金融資産保有額別の世帯数と資産規模を、各種統計などから推計した結果を公表しています。2021年の純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると148.5万世帯で、内訳は、富裕層が139.5万世帯、超富裕層が9.0万世帯でした。2021年の富裕層・超富裕層の合計世帯数は、この推計を開始した2005年以降、最も多かった2019年の132.7万世帯からさらに15.8万世帯増加しました。日本の富裕層は事業オーナーである場合が多く、金融資産1~5億円の富裕層では、その約3分の1が事業オーナーであるとしています。なお、金融機関には、富裕層が抱える悩みや課題を把握、理解することが求められていると指摘しています。

 貧しい国と思われているカンボジアですが、街では多くの高級車を見かけます。また、高級ショッピングモールにはブランド店も進出してきています。カンボジアでも富裕層が増加しているのは確実であるものと見られ、富裕層を対象としたビジネスや、質の高い海外富裕層を誘致するビジネス等は、今後の拡大が期待されます。

野村総研の発表

https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2023/cc/0301_1

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA