アジアの"いま"

鈴木 博
2020/09/30 09:46
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 カンボジア経済財政省税務総局(GDT)は、懸案となっていたキャピタルゲイン課税を2021年1月から導入する方針を明らかにしました。キャピタルゲイン課税は、土地や株式の取引の利益に課される税金で、カンボジアでは税率20%を予定しています。この課税については様々な議論が10年ほど前から続けられていましたが、中国人による不動産投資が激しくなったここ数年で法改正や規程の整備が行われ、今年7月から導入される予定でした。しかし、新型コロナの影響もあり、導入が延期されていたものです。

 カンボジアでは、法人への課税が中心となっており、個人所得への課税は、法人から支払われる給与が主な対象となってきました。しかし、中国からの投資による不動産価格の上昇等により、不動産取引への課税の必要性が指摘され、特に、中国人等の外国人を含む裕福な個人の所得に対する課税の必要性が高まっていました。

 法人税や付加価値税、関税や特別税(高価な嗜好品等)の徴税は、次第に強化され、税収の対GDP比も10年前の10%程度から2018年は18.6%に上昇してきています。こうした中で、裕福な個人の不動産取引等への課税を強化することは、妥当な方向性と見られます。しかし、今年から来年にかけては、新型コロナの影響で経済の動向は不透明であり、不動産価格も下落を始めつつある中でのキャピタルゲイン課税の導入には、心配の声も上がっており、実際の導入に当たっては、経済動向や不動産取引の状況等に配慮する必要があるものと見られます。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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