アジアの"いま"

鈴木 博
2019/09/18 12:35
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 ニュースネットワークアジア(NNA)によりますと、タイのエネルギー省は、タイ湾でカンボジアと領海問題を抱える重複主張海域(Over-wrapping Claim Area: CA)における天然ガス開発を急ぐ方針を明らかにしたとのことです。向こう10年間にタイ国内のガス供給量が低下するためで、エネルギー省は、数カ月以内に実施される第15回タイ・カンボジア通常国境委員会会合で同問題を議題に挙げ、交渉再開につなげたいとしています。
 カンボジアとタイの間では海上の国境線が確定しておらず、双方が領有権を主張する2万6400平方キロメートルの重複主張海域が存在しています。この海域では、石油・天然ガスが豊富に埋蔵していると見られており、領有権問題を棚上げして、両国で共同開発を行う方向で協議が進められてきた経緯があります。タイ側は、タクシン政権時代にこの考えに一度は合意し、覚書の調印まで至りましたが、アピシット政権になってからこれを覆し、交渉は暗礁に乗り上げていました。
 タイ側は、緯度11度から北の1万平方キロは2カ国間での領海確定、同南の1万6000平方キロはタイ・カンボジア共同開発海域(JDA)とすることを目指すとしています。エネルギー省傘下のタイ石油研究所(PTIT)のクルチット所長によると、上述の2001年に両国政府が結んだ「大陸棚における海上の主権主張重複に関する覚書」にのっとり交渉を進める方針としています。
 シアヌークビル沖の海上油田については、カンボジア領海ではブロックAをシンガポール系のクリスエナジーが開発を進めています。OCAでタイとの共同開発が進めば、カンボジアへの裨益も大きいものがあるものと見込まれ、交渉の進展が大いに期待されます。

日本のJOGMECのレポート「タイとカンボジアに跨る未境界画定水域」

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1007679/1007750.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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