アジアの"いま"

鈴木 博
2023/04/19 10:32
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 3月29日、フランス開発庁(French Development Agency: AFD) とカンボジア政府の第6回年次協議がフランス・パリのAFD本部にて開催されました。協議には、カンボジア側は、経済財政省のボンセイ・ヴィソット次官(首相付大臣)をヘッドとしたミッションが参加しました。

 年次協議では、これまでの支援実績を確認するとともに、今後数年間の支援の方向性等について議論されました。その結果、2023年~2024年の支援として、4億ユーロ(約580億円)の支援を約束する覚書に調印しました。この金額はこれまでの支援の2倍近くの規模となるとしています。支援の優先セクターとしては、水道と衛生、農業、エネルギー、職業訓練等があげられています。AFDのカンボジア支援戦略では、低炭素化への転換支援、気候変動への耐性強化、地域統合の改善、競争力の強化、ブルーエコノミーの振興と持続可能な水管理等を目標とするとしています。

 今年は、1993年にAFDがカンボジアで業務を開始して以来、30周年となるとのことです。この間に、92件のプロジェクトに総額9億2700万ユーロ(約1330億円)の支援を実施したとしています。

 フランスは、カンボジアの旧宗主国ですが、これまであまり多額の支援を行ってきませんでした。しかし、カンボジアが「親中国」と呼ばれるような状況となったこともあり、支援を大幅増額してきたものと見られます。また、最近、フランス海軍の軍艦がシアヌークビル港に寄港する等、多方面での働きかけを行っている模様です。日本とフランスは、プノンペンの上水道で協力した実績もあり、今後とも協調してカンボジアを支援していくことが期待されます。

フランス開発庁の発表(英文です)

https://www.afd.fr/en/actualites/communique-de-presse/400meu-support-cambodia-2023-2024-unprecedented-amount-commitments-afd-country?origin=/en/actualites/communique-de-presse

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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