カンボジア公共事業・運輸省は、プノンペン~シアヌークビル間高速道路が2023年前半に完工するとの見通しを示しました。同省の報道官によると、高速道路の建設は今年3月末に始まり、現在、工事の進捗率は7%としており、2020年初頭以降本格的工事を開始するとしています。事業の影響評価や建設用地の収用に伴う補償に関しても、まもなく終了する見通しとしています。
高速道路は、プノンペン近郊の環状3号線からスタートし、中国系企業が開発を進めるスタンハウを経由してシアヌークビル港近くまでを結ぶ片側2車線、総延長190キロメートルの計画です。完成後は、プノンペン~シアヌークビル間を2時間半程度で走行可能になるとしています。総工費は、20億1900万ドル(約2220億円)の見込みです。中国政府系の中国路橋工程(CRBC)の現地法人のカンボジア・プノンペン・シアヌークビル・エクスプレスウエー(柬埔寨金港高速公路)が、BOT(建設・運営・譲渡)方式で受託しています。委託運営期間は50 年とのことです。
総工費を考えると、通行料収入だけで建設費までフルリカバリーすることは、かなり困難と見られます。また、カンボジア政府は債務も負わず、債務保証もしていないとしており、中国企業がリスクを全て負担するスキームとなっています。財務の健全性維持が可能かどうかについては、かなり懸念のあるスキームと言えます。