アジアの"いま"

鈴木 博
2018/05/09 09:29
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 4月26日、国際的格付機関のムーディーズは、カンボジアのソブリン発行者格付けを今回も「B2」で変わらずと発表しました。また、今後の見通しも安定的としています。好調なGDP成長の見通し、マクロ経済の安定、政府歳入強化に向けた努力等を評価しています。GDPは、堅調な消費、外国直接投資、輸出の伸びに支えられて、2018年、2019年は7%程度の成長が見込まれます。堅調な政府歳入に支えられて、インフラ、教育、公務員給与への支出を伸ばすことも可能となっており、政府債務についても問題ないと見ています。中央銀行の努力による為替の安定と物価の安定もあって、外資の流入も順調で、経済成長と対外収支の安定を支えています。
 格付けを低くしている要因としては、金融システムリスク、政府機構の組織面の弱さ、低所得、政治情勢等があるとしています。金融セクターの高度なドル化は、米ドルの増価や米ドル金利の上昇といった外的ショックに対する脆弱性の要因となっています。また、経済基盤が特定の産業に偏っていることや、低所得もショック吸収能力を弱めていると懸念されます。また、選挙に向けた政治状況は、外資の流入や外国援助に影響しかねない潜在的リスクとなっていると分析しています。
 なお、ムーディーズの格付けでは、AaaからBaaまでの10段階は「投資適格」、Ba以下は「投機的」と分類されています。カンボジアの「B2」は、「投機的とみなされ、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付け」と定義される「B」のうち中位にあることを示しています。

ムーディーズのサイト(英文です)
https://www.moodys.com/research/Moodys-Cambodias-rating-reflects-robust-growth-but-also-financial-system–PR_382866

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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