アジアの"いま"

鈴木 博
2021/03/24 11:27
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 2月25日、米国・東西センターが開催したオンラインイベントで、米国が「メコン・米国パートナーシップ」を通じて、メコン川流域国への支援を強化するとの方針を明らかにしました。米国代表は中国の名指しは避けながらも、「メコン川上流にある水力発電用ダムが下流国の食糧安全保障や経済開発、環境に影響を及ぼしている。」との懸念を表明しました。また、NGOなどの市民社会を含む透明性と強力なガバナンス制度、政策、意思決定プロセスの重要性を強調しました。さらに、米国は「メコン・米国パートナーシップ」を通じて、水資源管理や流域国の連結性強化に取り組むと表明しました。米国務省はこのオンラインイベントに先立つ2月23日、メコン川の水位の急激な変動や低下に対する懸念をメコン川流域国政府とメコン川委員会と共有するとのステートメントを発出していました。

 2月26日、ラオス・ビエンチャンにおいて、竹若敬三駐ラオス日本国特命全権大使とアン・ペイ・ハッター・メコン河委員会事務局長との間で、供与額3億円の無償資金協力「メコン河流域洪水対策能力強化計画(MRC連携)」に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われました。本事業は、メコン河委員会に対して、降雨量・水位等観測所の新設・改修及び洪水対策に関する機材供与等を行うことにより、メコン河下流域国の洪水対策能力強化を図り、もってメコン諸国の強靱性向上に寄与するものです。

 中国は、メコン河上流に多数のダムを建設しましたが、下流国にはダムの放流データや水文データさえ提供しないという傍若無人な対応を続けてきていました。今年もメコン河の水位は歴史的な低さとなっており、中国の自国ファーストのダム運用がその原因の一つと見られています。日本や米国が、メコン川の水位変動で困難な状況にある下流国の人々を少しでも助けていくことは、大きな意義のあることと見られます。今後の支援の継続が期待されます。

日本の外務省の発表

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008983.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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