アジアの"いま"

鈴木 博
2021/04/28 17:27
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 4月5日、メコン河委員会は、10カ年流域開発戦略(2021年~2030年)と5カ年戦略計画(2021年~2025年)を発表しました。この戦略と計画は、メコン諸国(カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム)が、流域の諸課題に取り組み、全体的な状況を改善していくことを目的としています。10カ年戦略は、5つの優先分野を定めています。健全な環境と生産的なコミュニティのためのメコン河の環境的機能の改善、健全なコミュニティのための水及び関連資源の使用とアクセスの改善、包括的経済成長のための持続可能な開発、気候変動及び災害リスクへの耐性、流域全体の観点からの地域協力の強化です。この戦略は、水及び関連資源の開発とインフラによるインパクトに関する最近の調査結果に基づいています。ダムを含むインフラ開発は、流況を変化させ、堆積物の移動に影響し、河岸浸食を拡大してきました。これらのインパクトは、魚の生息数の減少、環境資産や氾濫原の減少、メコンデルタ堆積の補充の減少等に結びついています。

 10カ年戦略を実施するための5カ年計画では、95の活動が計画されており、現状の調査とそれに基づく洪水制御・干害対策・エネルギー安全保障・環境保全等に役立つ多目的投資事業を提言していくこととしています。この計画の所要資金は6000万ドルと見積もられ、そのうちの4割については加盟国が負担することとしています。

 メコン河は、上流の中国が本流に多数のダムを建設し、自国ファーストの水管理を行っているため、渇水や洪水の被害が拡大していると言われます。米国や日本等の協力を受けて、下流4カ国で構成されるメコン河委員会が流域全体を見渡す戦略と計画を策定したことは大変に意義のあることです。今後も地道な調査とその結果に基づく対策や新規事業が立案・実施されていくことが期待されます。

メコン河委員会の発表(英文です)

https://www.mrcmekong.org/news-and-events/news/pr-05042021/

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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