アジアの"いま"

鈴木 博
2020/02/05 07:16
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 1月22日、国際的なアパレル有力企業22社等が連名で、カンボジアのフン・セン首相に書簡を送り、労働者の権利等に関する欧米の懸念に応えることを求めました。参加したのは、アディダス、プーマ、ラルフローレン等、世界的に有名なアパレル企業です。

 書簡では、カンボジアがこれまで実施してきた労働問題に関する努力を評価する一方で、カンボジアの現在の労働者の権利や人権の状況が、特恵関税制度のリスクになっていることに懸念を表明しています。また、同様の書簡を2018年11月、2019年5月にも送付し、カンボジアと共に改革を進めていくことを提案しましたが、十分な回答も得られていないとしています。

 昨年の総選挙に関連して、最大野党の救国党を解党したり、党首を拘束したりしたフン・セン首相の強権的手法に対し、EUは特恵関税制度EBAの停止を検討する手続きに入っています。また、米国でも上院議員らがカンボジアに対する特恵関税を見直すことを求めています。こうした中、中国を後ろ盾にしたフン・セン政権は、野党党首の釈放等の懐柔策をとる一方で、対外的には強硬姿勢を維持しています。輸出の7割を占める縫製品を製造したり、その製品を輸入している企業では、特恵関税停止の懸念が高まっており、今回の書簡もそうした企業の不安を表しているものと見られます。特恵関税制度が停止された場合、カンボジアは大きなダメージを受けるものと見られるため、先ずは2月12日に予定されるEUの特恵関税制度EBAの資格停止に関する判断が注目されます。

22社連名の書簡(英文です)

https://www.aafaglobal.org/AAFA/AAFA_News/2020_Letters_and_Comments/AAFA_Joins_with_22_Brands_and_Organizations_Calling_for_Improved_Labor_Rights_in_Cambodia.aspx

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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