アジアの"いま"

鈴木 博
2021/06/30 12:09
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 6月17日、世界銀行は「カンボジア経済アップデート2021年6月:回復への道」を発表しました。

 カンボジアの成長率については、2020年のマイナス3.1%から、2021年4.0%、2022年5.2%、2023年6.0%に回復すると見ています。新型コロナの影響は深刻でしたが、経済回復の途上にあるとしています。農業等の第1次産業の2021年の成長率は1.1%と堅調を維持すると見ています。製造業等の第2次産業は回復傾向にあり、縫製品以外の主要輸出品である電気・電子部品、自動車部品、自転車等が健闘しており、成長率は6.7%に回復する見込みです。観光業は引き続き厳しい打撃を受けており、第3次産業の成長率は2.6%に留まると予測しています。

 物価上昇率は安定的で、2020年2.9%、2021年3.0%、2022年3.0%、2023年3.0%と予測しています。対外収支は、縫製品以外の健闘で輸出が回復傾向にあることに加え、海外直接投資(FDI)が、2019年35億ドル、2020年35億ドル、2021年38億ドルと堅調を維持していることもあり、2021年の経常収支赤字(対GDP比)は9.9%に留まると見ています。外貨準備も順調に増加しており、2020年末で212億ドル(輸入10.4か月分)と非常に安定的です。

 世界銀行では、今年2月以降の新型コロナの国内感染の広がりを受けて、リスクシナリオも検討しており、新型コロナの感染の拡大、ワクチン接種の遅れ、ロックダウンの再導入等があった場合には、今年の成長率は1.0%に留まる可能性があるとしています。

 カンボジア経済のリスクとしては、上記の新型コロナ感染拡大に加え、縫製品等の輸出競争力の低下、世界経済の回復の遅れ等をあげています。対応する政策としては、ワクチン接種等の新型コロナ対策の促進、貧困・脆弱世帯への現金支援の継続、不動産バブル崩壊への警戒継続等を提言しています。

 なお、特別フォーカスとして、「政府から国民へ:社会保障の支払」と題する調査報告も含まれています。

世界銀行の発表(英文です)

https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2021/06/16/cambodia-country-economic-update-june-2021-cambodia-s-economy-recovering-but-uncertainties-remain

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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