アジアの"いま"

鈴木 博
2018/04/25 20:45
  • Check

 4月12日に世界銀行は、東アジア・大洋州地域半期経済報告(2018年春)を発表しました。この報告書は、年2回春と秋に発行されています。
 カンボジアの2018年の成長率についてはこれまでの予測(6.9%)と変わらず6.9%と予測しています。また、経済成長は引き続き好調が続くと予測しており、今後のGDP成長率予測は、2019年6.7%、2020年6.6%と見込んでいます。公的支出の増大と好調な世界経済がカンボジア経済の成長につながると見ています。物価上昇率は、2018年3.2%、2019年3.4%、2020年3.3%と、安定すると予測しています。経常収支(対GDP比)は、輸入の伸び鈍化等で2017年の9.8%の赤字から、2018年9.4%、2019年9.2%、2020年9.9%と安定的に推移する見込みです。また、この赤字は、好調な直接投資等で埋め合わされており、外貨準備は増加を続けており、2017年末時点で87億ドル(輸出の6カ月分)と非常に安定的な水準です。 
 今後のリスクとしては、建設セクターのバブル、選挙に伴う不確実性、最低賃金上昇に伴う輸出競争力の鈍化をあげています。また、実質賃金の上昇により、賃金の安さに頼ってきた競争力が減退しつつあり、これが将来の雇用の確実性に影響を与えていると懸念しています。これに対処するためには、生産性の高い熟練労働力の育成が必要であるとしています。また、地場の中小企業が成長と雇用創出に果たす役割も重要であり、中小企業育成政策や、国内投資奨励政策によって、外資企業や輸出企業とのリンケージを強化することも重要であると指摘しています。また、建設セクターのバブルについては、投機的な投資を抑制することが必要としており、金融機関のモニタリングを強化すべきであるとしています。

世界銀行の新聞発表(和文)  
http://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2018/04/12/growth-prospects-for-developing-east-asia-and-pacific-remain-strong-but-risks-need-attention-world-bank-says?cid=EXTIK_Tokyo_eNews_P_EXT

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA