アジアの"いま"

鈴木 博
2019/03/06 08:52
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 日本経済新聞によりますと、世界的な景気後退懸念を受けて、中国マネーの勢いは削がれつつあり、また、世界各国の住宅価格も頭打ちから下降に向かいつつあるとしています。
 国際通貨基金(IMF)の予測によれば、2019年の中国の経済成長率は、6.2%と昨年を更に下回る見込みとなっています。また、一時4兆ドルに迫っていた外貨準備も2019年1月末には3兆1000億ドルまで減少してきています。このため、中国政府が「外貨の持ち出し規制を強化するだろう」という観測が、中国ウオッチャーの間で広がっており、更に、「いざとなれば、爆買いを止めるために海外旅行を制限する」との予測も出てきています。

 一方、低金利下でマネーが流れ込み高騰した不動産の魅力が薄れつつあり、各国で住宅の価格が頭打ちになっています。一部の国では値下がりに転じ、先進国全体でも3年ぶりの低い伸びにとどまっているとしています。IMFは報告書で、40カ国と44の主要都市における住宅価格の連動性が高まっていると分析しています。低金利下でも利回りを確保し、国債分散投資をする投資家が各国で不動産に投資しているためとしています。

 カンボジア経済のエンジンの一つは、建設・不動産業界の積極的な投資でした。これまで中国マネーによる不動産投資で潤ってきたカンボジアの不動産業界ですが、シアヌークビル等で実需をはるかに上回る投資が進みつつあり、IMFも懸念を示し始めています。世界的な住宅価格の頭打ちと、中国マネーの減速の両方の影響を受けやすいカンボジアの不動産業については、今後慎重にモニターしていく必要があるものと見られます。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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