アジアの"いま"

鈴木 博
2013/12/04 09:10
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住友化学は、シンガポール現地法人の外国人社員2人が、カンボジア政府高官に総額25万6470ドル(約2600万円)を渡していたと11月25日に発表しました。カンボジア政府からマラリア予防の蚊帳を受注した見返りだったとしています。住友化学は、この社員2人を解雇しました。

 

住友化学によりますと、2人は2006~10年に計7回、カンボジア政府のマラリア対策組織の高官2人に対し、蚊帳の受注額の2.8~6.5%を渡したとのことです。マラリアなどの撲滅に取り組むスイスの非営利法人、世界基金の調査で発覚したものです。

 

記者会見した住友化学コーポレートコミュニケーション室の安藤洋部長は「不正行為は厳粛に受け止めている。国内外のグループ会社で再発防止に努める」と述べました。同社の米倉弘昌会長も同日、経団連会長としての記者会見で事実関係を認め「カンボジアでは、入札の際にお金を出せという極めて不可解なことを言われていた。我々の理解に苦しむところ(慣習)があった」と釈明しました。

 

日本では、国際商取引における外国公務員への不正な利益供与が、国際商取引の競争条件を歪めているという認識の下、これを防止することを目的として、OECD加盟国間の条約に基づき、不正競争防止法に外国公務員贈賄罪を規定しています。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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