アジアの"いま"

鈴木 博
2020/08/12 13:12
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 8月4日、国際金融情報センター(JCIF)は、国際金融2020年7月1日号掲載のレポート「カンボジアの 中銀デジタル通貨「バコン」~世界の中央銀行に先駆け、正式導入予定~」を公開しました。著者は、国際金融情報センターアジア第2部赤尾陽太主任研究員です。

 レポートでは、バコンの開発、バコンの概要、国立銀行が中銀デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)を発行する背景、最先端の金融システムへの移行、国立銀行の狙い・民間銀行への影響を分析しています。バコンについて「バコンを発行するためのブロックチェーンが国立銀行の大口決済とインターバンクの小口決済のシステムとしての機能も兼ねており、カンボジアでは国家全体の決済アーキテクチャーの大幅な簡素化・低コスト化に成功した。今回のケースは後進国であることを活かして、一気に最先端の技術に到達する「リープフロッグ現象」と言え、カンボジアの金融システムが生まれ変わろうとしている。」と称賛しています。また、既存の銀行への影響は小さく抑えつつ、自国通貨リエルの復権・金融包摂の進展・送金コストの低下・キャッシュレス化の進展等で大きな効果があり、匿名性とマネーロンダリング防止も両立していると分析しています。最後に、「CBDC の発行に慎重な姿勢を示す国が多い中、バコンは世界に先駆けて行われる、CBDC の壮大な実験である。」と結んでいます。世界の趨勢を背景にしつつ、カンボジアの「バコン」の特性を見事に明らかにした素晴らしいレポートです、ぜひご一読ください。

 日本では、旧態依然の全銀ネット等のしがらみで、国内送金、キャッシュレスの手数料が高い等の問題を抱えています。日銀は、CBDCの研究を進めるとしていますが、大きく出遅れているのが実態です。カンボジアは、しがらみの少ない状況を活用して、一気に本格的CBDCの世界に移行しようとしており、今後の大きな発展が期待されます。

国際金融情報センターのサイト

https://www.jcif.or.jp/report/2020/KHM202008026686.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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