アジアの"いま"

鈴木 博
2017/09/06 10:55
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 7月末、日本の外務省は、「対カンボジア王国 国別開発協力方針」の改訂版を発表しました。これまでの国別援助方針を改訂したもので、ODAタスクフォースでの立案の後、パブリックコメント等も経て策定されました。また、この方針に基づく、さらに細かい事業展開計画も添付されています。
 今回の方針の基本方針(大目標)は、「2030年までの高中所得国入りの実現に向けた経済社会基盤の更なる強化を支援」です。具体的には、より高いレベルでのインフラ整備、次世代の人材育成などに着手します。また、人間の安全保障の実現を念頭におき、都市部と地方部の格差やプノンペンにおける都市問題の深刻化などの解決を図ります。カンボジアの社会全般に求められる課題として、引き続き、法の支配の確立をはじめとするガバナンスの強化に取り組むとしています。
 いわゆる3本柱となる重点分野(中目標)は、(1)産業振興支援(地域の連結性強化と産業振興の観点から、ハード及びソフト両面における物流網(道路、港湾、税関など)の強化、投資環境の整備、産業振興に不可欠なエネルギーの安定供給、産業人材の育成に取り組む。同時に、フード・ バリューチェーン構築の重要性を認識しつつ、地方部における主要産業である農業振興に取り組む)、(2)生活の質向上(国民生活の質向上の観点から、上下水道、排水、電力(無電化地域の縮小)、都市交通(都市鉄道、バス、車両登録)など都市生活環境整備に資する分野での支援を行う。また、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成にむけた保健医療・社会保障分野における取組を推進する)、(3)ガバナンスの強化を通じた持続可能な社会の実現(中・長期的な視点に立ち、ガバナンスの強化を通じた持続可能な社会の実現を目指すべく、行政機構の組織強化、公務員の能力強化を通じた行政サー ビスの質の向上、民法・民事訴訟法等に関する法制度整備・法曹人材の育成、選挙改革などの民主主義の更なる定着に向けた取組や、環境管理への取組、地雷・不発弾対策などの支援を行う)となっています。
 留意事項としては、地域の連結性強化(「南部経済回廊」、「日メコン連結性イニシアティブ」 など)、「質の高いインフラ」(ハード+ソフト)、産業人材育成など我が国が重視するメコン地域に対する取組を促進することと、市民社会との連携、官民連携、自治体連携による開発協力の推進及び日系企業の投資促進を図ることをあげています。

外務省のサイト
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000072231.pdf

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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