アジアの"いま"

鈴木 博
2023/07/05 12:13
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 6月20日、カンボジア・プノンペンにおいて、植野篤志駐カンボジア日本国特命全権大使と、プラック・ソコン・カンボジア王国副首相兼外務国際協力大臣との間で、総額257億7300万円を限度とする円借款2件に関する書簡の交換・署名が行われました。対象案件は、 地方道路連結性向上事業(供与限度額:236億9200万円)とシェムリアップ上水道拡張計画(第三期)(供与限度額:20億8100万円)です。

 地方道路連結性向上事業では、円借款で整備を進めてきたプノンペンとタイ国境を結ぶ国道5号線の沿線地域において、橋や道路排水施設を含む地方道路の改良及び拡幅により、当該地域における道路ネットワークの連結性強化、人々の社会経済活動へのアクセスの改善を図るものです。国道5号線に繋がるフィーダー道路38 路線、全長約 530km を対象としています。
 シェムリアップ上水道拡張計画については、2012年に第一期、その後2021年に第二期の署名を行っていましたが、最近の急激な為替変動等により総事業費が増加したことを受け、追加的な円借款で対応するものです。

 なお、供与条件は、金利:TORF+0.4%(下限金利は0.1%。コンサルタント部分は年0.1%)、償還期間:30年(10年の据置期間を含む)という大変譲許的なものです。

 カンボジアの債務状況は良好であり、債務の罠に落ち込む可能性も低いものと見られます。今後とも、重要なインフラの整備に日本の円借款を活用していくことが期待されます。

外務省の発表

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press7_000056.html

国際協力機構の発表

https://www.jica.go.jp/information/press/2023/1514502_25245.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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