アジアの"いま"

鈴木 博
2020/06/17 10:06
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 6月5日、プノンペンにおいて、三上正裕駐カンボジア大使とプラック・ソコン外務国際協力大臣との間で、カンボジアに対する3件の無償資金協力(合計45億100万円)に関する書簡の交換が行われました。供与対象は、「シェムリアップ州病院改善計画(21億5300万円)」、「経済社会開発計画(20億円)」、「人材育成奨学計画(3億4800万円」です。

 経済社会開発計画は、医療関係機材の供与を通じた新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた支援です。カンボジアにおいては、現時点では大規模な感染拡大には至っていないものの、国内の医療体制は極めて脆弱であり、今後感染が拡大した場合にはカンボジア国内のみならずメコン域内への急激な感染拡大に繋がる危険もあります。この計画は、カンボジアに対し、救急車、ICUベッド等の保健・医療関連機材を供与するものであり、同国の保健・医療体制の強化を通じて、同国及び国際社会全体における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に寄与することが期待されます。

 シェムリアップ州病院改善計画は、病院の施設及び機材の整備を通じた地方における保健医療サービスの改善に向けた支援で、シェムリアップ州病院及び同州のその他4病院の施設及び機材を整備することにより、シェムリアップ州の保健システムを強化し、基本的な保健医療サービスへのアクセス改善を図るものです。人材育成奨学計画は、カンボジアの若手行政官等が日本の大学院において学位(修士・博士)を取得することを支援するものです。

 今回、日本政府は、新型コロナウイルスに対処する医療体制の強化支援として。カンボジアに加えて、ラオス(15億円)、ミャンマー(20億円)の3か国に対して合計55億円の無償資金協力を行います。この地域には、新型コロナの拡大に重大な責任がある中国が、「マスク外交」と呼ばれる支援を行っていますが、米国の強硬な中国批判もあり、各国でも中国の本心は別のところにあるとの声が強まっています。こうした中で、日本が相手国のことを心から支えるための質の高い医療設備等を支援することは、大変重要な意義があるものと見られます。協力の実施において日本の真心を伝えていくことが期待されます。

外務省の新聞発表

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_008470.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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