6月12日、日本経済新聞は、「ネット利権「正常化」で混乱 カンボジアの光ファイバー電線網一掃へ」と題する記事を掲載しました。カンボジアの通信業界の現状について、突っ込んだ内容となっています。
記事では、「カンボジアの通信業界は、参入障壁の低さと監視がほとんどないことが特徴だった。激しい競争と価格戦争で、価格は低いまま据え置かれた。その振り子が、全く逆方向に振れている。数十年間の放任から全面的な規制への大転換だ。業界各社は法令順守に賛同する一方で、「強引」「強硬」な手法が接続速度を低下させ、料金を上昇させると不服顔だ。」としています。
カンボジアの通信業界について、激しい競争の結果、携帯電話会社は3社に集約される一方、料金は世界的にも安価な水準となったと分析しています。しかし、通信各社は、免許の条件となっていた規制料金と税金の支払を滞納してきていました。2年前に就任したチア・バンデス郵便電気通信大臣は、通信サービス業者に有名無実化していた免許条件を守らせ、対価を支払わせたいとしています。この結果、約20社が契約条件違反または機能していないとして、免許を取り消されました。
基幹通信網については、カンボジア通信監督機構(TRC)は、携帯大手3社等に対し、光ファイバー網の構築、運営のための適切な免許を取得していないと警告しています。このため、民営で光ファイバーの基幹回線を運用する中国系のCFOCNと契約しなければならない状況となっているとのことです。
カンボジアの通信セクターは、固定電話を飛び越えて、最先端の光ファイバー、ワイヤレス、インターネットプロトコール(IP)で、低コストで全土に通信網を構築し、農村部にまでインターネット環境を広げてきました。最近、通信速度の低下等が指摘されるようになっていますが、その問題の解消や5Gの導入に向けて、通信企業の投資を促進しつつ適正な料金を維持できるような通信政策の運用が望まれます。
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