アジアの"いま"

鈴木 博
2021/08/25 09:22
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 8月12日、日本経済新聞に「カンボジア、中国への依存加速 EU制裁から1年」と題する記事が掲載されました。著者は、日本経済新聞社ハノイ支局の大西智也支局長です。記事では、EUの制裁発動から1年を経たカンボジアの状況が解説されています。幣研究所の鈴木博チーフエコノミストのコメントも入れていただいております。記事の概要は以下の通りです。

 2020年8月12日に欧州連合(EU)の欧州委員会が人権問題を理由にカンボジアへの経済制裁を発動してから1年となりましたが、今もなお、フン・セン首相の政治手法に大きな変化はありません。2020年のカンボジアのEUへの輸出は前年に比べて減る一方、フン・セン政権の後ろ盾である中国への輸出は1割以上伸びています。2022年1月には中国とカンボジアの自由貿易協定(FTA)も発効する予定です。カンボジア政府幹部は「FTAで中国への輸出が約25%増える」と予測しています。カンボジアへの外国直接投資のうち、中国は約9割を占めています。新型コロナウイルスのワクチンでも、8月11日時点でカンボジア国民の接種分のうち中国製の割合は9割を超えています。米中対立激化の中で綱渡り外交を続けるカンボジアですが、経済成長のために中国にもある程度依存せざるを得ません。フン・セン首相は5月に開かれた国際交流会議「アジアの未来」で、「中国以外に誰に頼ればいいのか」と嘆き、欧米や日本のカンボジアへの投資を求めました。残念ながら、こうした現状ではEUのカンボジアへの圧力は効果がないだけでなく、「中国とカンボジアをさらに接近させている」(カンボジア総合研究所の鈴木博のコメント)状況です。記事は、「カンボジアを取り巻く国際情勢は、米中対立が深まる中で人権尊重など西側の価値観を新興国に定着させる難しさを浮き彫りにしている。」と結ばれています。

 カンボジアと中国との関係を背景に、カンボジアの置かれた立場や状況について、多くの情報を含んだ有益な記事です。ぜひご一読ください。

日本経済新聞のサイト(有料記事です)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM038G50T00C21A8000000/

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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