アジアの"いま"

鈴木 博
2021/01/27 17:44
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 1月12日、国際的格付機関のムーディーズは、アジア太平洋地域の2021年見通しを発表しました。2020年に、ムーディーズはアジア太平洋地域の25カ国のうち11か国の格付けを下方修正しました。新型コロナの影響による対外債務の問題が、格付けの引下げに繋がっており、重債務にあえぐラオス(Caa2)、モンゴル(B3)、スリランカ(Caa1)等が引き下げとなりました。こうした中で、カンボジアが、格付け「B2(安定的)」を維持していることは注目されます。
 多くの国にとって、歳入の減少と新型コロナ対策のための財政支出拡大による財政状況の悪化とそれを埋め合わせる債務の増大が課題となっています。カンボジアも対外債務が増大していますが、大半が政府開発援助や国際機関の譲許的借款に支えられており、利子負担や毎年の返済額が限定的なため、債務のリスクは大きくないと分析しています。例えば、カンボジア向けの日本政府の円借款は、金利0.01%で、多くの場合、返済期間は40年(10年間の据え置き期間含む)という大変譲許的なものです。

 ムーディーズでは、短期的な債務増大の問題に加えて、中期的な財政の悪化や国債消化が課題になると指摘しています。また、新型コロナの影響と経済の落ち込みの影響により、格差の拡大や政治的な緊張等もリスクとなりうるとしています。新型コロナにより国際的なサプライチェーンの脆弱性も課題となったと指摘しました。

 こうした状況下で、いくつかの国はコロナ後の経済政策を明らかにしつつあり、ムーディーズでは、RCEPの活用等による貿易拡大、デジタル化、脱炭素を目指すグリーン投資等が柱になると見ています。

 なお、ムーディーズの格付けでは、AaaからBaaまでの10段階は「投資適格」、Ba以下は「投機的」と分類されています。カンボジアの「B2」は、「投機的とみなされ、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付け」と定義される「B」のうち中位にあることを示しています。

ムーディーズのサイト(英文です)

https://www.moodys.com/researchdocumentcontentpage.aspx?docid=PBC_1246800

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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