6月1日、米国のウェンディ・ルース・シャーマン国務副長官は、カンボジアを訪問し、フン・セン首相他と会談しました。米国側発表では、中国がカンボジアのリアム海軍基地の拡張を支援するなど軍事プレゼンスを高めていることに深刻な懸念を表明し、カンボジアに独立したバランスの取れた外交を展開するよう求めたとしています。カンボジア国内に中国軍の基地が存在するようなことがあれば、カンボジアと米国との二国間関係を損なうと強く釘を刺した形です。カンボジア側は、釈明に追われ、米国によるリアム基地の視察を許可し、「透明性を確保するため、メディア関係者の視察同行も認める」としています。シャーマン国務副長官は、人権問題にも触れ、人権の尊重は二国間関係の基本をなしていると強調しました。ケム・ソッカ救国党前党首とも会談し、カンボジア側に圧力をかけています。
他方、カンボジア側からは、1970年代の内戦時代に米国が供与し、使途不明や武器購入使用疑惑のあるいわゆる「汚れた借金」について、フン・セン首相から解決を強く求めたとしています。カンボジア側からは、分割しての返済、1%以下の低金利、返済額の70%の開発援助(教育、文化、地雷・不発弾除去向け)への振替を提案しました。
米国は、中国を名指しして、カンボジアへの中国軍進出について厳しい懸念を表明しており、これまで以上に米国の強い意志が感じられます。小国であるカンボジアは、米中の板挟みの中で、綱渡り外交を続けざるを得ないものと見られます。
米国国務省の発表(英文です)
https://www.state.gov/deputy-secretary-of-state-wendy-shermans-visit-to-cambodia/