アジアの"いま"

鈴木 博
2018/03/21 12:40
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 2月27日、米国政府は声明を発表し、「米国は過去四半世紀、カンボジアの開発パートナーとなってきたが、最近のカンボジアの民主主義の後退を深く懸念する。」として、カンボジア政府や軍への支援の一部を中止・削減すると発表しました。特に、2月25日のカンボジア上院選で与党が全議席を独占したことについて、真の民意を反映していないとして、米国の納税者の資金が反民主主義の動きを支援することがないよう、カンボジア向けの支援を再検討せざるを得ない状況にあるとしています。この結果として、カンボジア軍や地方政府、税務当局などへの援助を中止・削減すると発表しました。一方で保健や農業、地雷除去、市民社会など、カンボジアの国民を直接支援するものは継続するとしています。
 米国は、今年の総選挙向け支援の凍結、カンボジア政府幹部へのビザ発給制限等の制裁を課してきていましたが、今次発表により、一般的な支援の削減にも制裁が波及しました。7月の選挙まで、欧米諸国は次第に制裁を強化していく方向と見られるため、この動きに留意する必要があります。特に、カンボジアから欧米向けの輸出を支えている特恵関税関連について制裁が波及し、輸出の減退や縫製業への影響、縫製労働者の大量失業等に繋がることは何としても避ける必要があるため、カンボジア政府の慎重な対応が求められるものと見られます。

米国ホワイトハウスの声明(英文です)
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/statement-press-secretary-reduction-assistance-government-cambodia/

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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