9月19日でタクシン氏が追放された軍事クーデターから6年、2年前のバンコク騒乱を含めた真相究明と国民和解への提言を盛り込んだ最終報告書が独立委員会によってまとめられた。
インラック首相はこの報告書に対して、「首相として報告書を受け入れるかどうかは言及しないが、それが和解につながるようであれば政府として対策に取り入れていく。兄(タクシン氏)については、“和解のため政治家としての活動をやめるべきだ”との提案があるが、それが有益であり、国に平和をもたらすと思うのであるならば、兄は提案に従うだろう。報告書はさらに精査する必要がある。政治的意見を表明する権利はあるが、法律の枠組みの範囲で行うべきだ」と、支持母体である赤組の一連の不満・反発についてはコメントを避けて静観しつつ、やはり当たり障りない無難な内容と常套句で明確なメッセージの発信は避けている。
また、タイ刑事裁判所は、赤組騒乱で犠牲となったタクシー運転手について、撃ったのは治安部隊側の人物だったとの判決を下した。これで、非常事態対策本部(CRES)が狙撃を指示したと結論付けられたことになり、今後、この判決が、現在審理中の他案件に影響を与えるのは必至で、且つ、当時の政府首脳、特に治安活動に最終的な責任を持っていた当時のアピシット首相とステープ副首相が責任を問われる可能性が高まったと言えよう。
赤組VS黄組の直接的な衝突はないが、不気味な静寂を保ちつつも、少しずつ波風が吹きはじめている。今後、風向きがタイらしくコロコロと変わりながらも、やがて暴風雨に突入していく予感を抱かずにはいられない。