アジアの"いま"

鈴木 博
2017/12/26 12:47
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 12月11日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、6月21日~28日にカンボジアで実施したサーベイランスの結果を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN10か国と日本、中国、韓国による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
 GDP成長率については、2017年6.9%、2018年6.8%と引き続き高成長が続くと予測しました。縫製品輸出の伸び率は鈍化するものの、建設業の好調、農業の回復、観光の好調が続くと見ています。物価上昇率については、2017年3.3%、2018年3.5%と安定的と予測しています。対外収支については、経常収支の赤字(対GDP比)は、2015年の9.4%から2016年には8.9%に縮小し、2017年も改善傾向が続くと予測しています。貿易赤字が縮小する中、海外直接投資は金融を中心に好調であり、総合収支の黒字と外貨準備の増大が続くと見ています。金融セクターについては、懸念されていた貸付の急増が、2015年の37.3%増から2016年には13.3%増に落ち着いたこともあり、概ね健全であるとしています。
 リスクとしては、賃金上昇やドル高に伴う輸出競争力の減退、不動産市場の供給過剰等を挙げています。
 中期的課題としては、ロジスティクスの改善・電力料金の引下げ等による競争力の強化、金融セクターについては健全性維持のための規制拡充、対外ショックに備えるための十分な外貨準備の維持等を提言しています。
 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施していくことが期待されます。

AMROの新聞発表(英文です)
http://www.amro-asia.org/cambodia-structural-reforms-and-rebalancing-fiscal-expenditure-critical-to-sustain-strong-growth/

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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