アジアの"いま"

鈴木 博
2020/04/29 12:01
  • Check

 4月7日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、ASEAN+3地域経済見通し2020(ASEAN+3 Regional Economic Outlook 2020)を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN10か国と日本、中国、韓国による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。

 今回の見通しは、新型肺炎深刻化前に取りまとめられたものでしたが、新型肺炎の影響についての分析も急遽取り入れられたものです。第1章では、ASEAN+3が直面する短期的リスク・脆弱性・課題とそれらに対する政策対応をまとめています。第2章では、4つの主要動向について分析しています。第4次産業革命、欧米の保護主義化、「工場としてのアジア(Factory Asia)」と「消費者としてのアジア(Shopper Asia)」の勃興、地域的統合の進化の4点です。

 また、13カ国の国別経済分析も添付されています。AMROは、今回の見通しで2020年の各国のGDP成長率見込みを大きく引き下げました。ただ、2021年はV字回復すると見ています。ASEAN+3では、2020年2.0%(前回予測4.2%)、2021年5.5%(同5.0%)、ASEAN10か国では、2020年1.1%(同4.4%)、2021年5.2%(同5.0%)と見ています。カンボジアについても大きく引き下げ、2020年2.7%(同6.2%)、2021年6.8%(同6.9%)としています。

 AMROでは、「COVID-19パンデミックの世界的な悲劇は、我々が運命共同体であることを強く想起させた。未来を共に築いていくという意思は強力である。」としています。

 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施していくことが期待されます。

AMROの新聞発表(英文です)

https://www.amro-asia.org/full-report-asean3-regional-economic-outlook-2020/

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA