アジアの"いま"

鈴木 博
2022/08/24 12:21
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 8月10日、ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)と日本貿易振興機構(JETRO)は、ASEAN日本政府代表部の千葉明特命全権大使、東アジア・アセアン経済研究センター (ERIA)の西村英俊事務総長、経済産業省通商政策局の桐山伸夫通商交渉官の参加を得て、リム・ジョクホイASEAN事務総長とオンラインと対面(ジャカルタ)のハイブリッド方式で対話を行いました。FJCCIAは、ASEAN10カ国のうち9カ国10組織の日本人商工会議所の連合組織で、2022年6月現在の会員数は7317社となっています。2008年から年に一度、ASEAN事務総長との対話を続けています。

 今回の対話では、ポスト・コロナ時代に向けて日本企業のASEANでの事業・投資活動を再活性化させるべく、ASEAN進出日系経済界からの提言書を基に議論を行いました。具体的には、ASEANの目指すASEAN包括的復興枠組み(ACRF)に基づき、ASEAN域内市場とより広範な経済統合の潜在性最大化、包括的なデジタル・トランスフォーメーション、より持続可能で強靭な未来、人的資本の開発という4つの柱について日本側から提言を行いました。カンボジア日本人商工会の神田陽悟会長は、メコン地域における陸上輸送の活性化と連結性の向上、具体的にはカンボジア・タイ国境(ストゥンボット=バンノンイアン)やカンボジア・ベトナムの輸送ルートの改善について提言しました。

 これに対し、リム事務総長は、貿易・投資の拡大や技術移転、中小企業のデジタル技術獲得に向けたアップ・スキリングとリ・スキリング、グリーン・脱炭素関連技術の導入といった分野での協力深化に向けて、日系産業界によるASEANでの取り組み、ASEANとの緊密な連携を歓迎すると述べています。

 2023年の日本ASEAN友好協力50周年に向け、今後1年間をかけて新型コロナウイルスからの完全な経済復興の実現に向けて、日本企業とASEANは連携した取り組みを深めるとしています。 日系企業の要望をこうした形で提言し、ASEAN各国の様々な改善に結び付けていくことは、大変に意義のあることです。今後の継続的な対話実施と提言のフォローアップが期待されます。

JETROの発表

https://www.jetro.go.jp/news/announcement/2022/8b07b8779791e96d.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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