アジアの"いま"

鈴木 博
2012/06/14 09:40
  • Check

中国共産党序列8位の賀国強・党中央規律検査委員会書記は6月13日、訪問先のカンボジアの首都プノンペンでフン・セン首相と会談しました。両国は、中国によるインフラ向けの4億2000万ドル(約334億円)の融資や航空機2機(中国製のMA60 )の供与に関する文書に調印しました。融資は、バッタンバン州のダム建設、国道6号線の改良、国道44号線の改修等に使用される予定です。

 

カンボジアは今年のASEAN議長国であり、来月にはASEAN地域フォーラムなど一連の外相会議も開かれる予定です。南シナ海の領有権問題をめぐりASEANの加盟国であるベトナムやフィリピンと中国が激しく対立する中、中国は相次ぐ要人の訪問と援助供与で攻勢をかけ、カンボジアの取り込みを図っています。

 

4月初めのASEAN首脳会議の直前には胡錦濤国家主席がカンボジアを訪問し、無償援助と低利融資の計4億5000万元(約56億円)の供与を表明しています。先月下旬のASEAN国防相会議の際には梁光烈国防相が訪問し、1億2000万元の無償援助などの供与に関する文書に調印しています。

 

これに対し、米国は第7艦隊旗艦をシアヌークビルに派遣し、米軍とカンボジア軍の共同演習を行う等の対抗策をとっています。日本の得意とするODA資金協力の供与拡大も期待されるところです。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA