アジアの"いま"

鈴木 博
2012/08/03 18:31
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数週間にわたりシンガポールで腎臓結石の治療を受けていたカンボジアのソク・アン副首相は、7月26日に無事プノンペンに帰国し、7月27日には早速、タイの代表団と海上油田の共同開発について協議しました。カンボジアとタイの間では海上の国境線が確定しておらず、双方が領有権を主張する2万7000平方キロメートルの重複主張海域(Over-wrapping Claim Area:OCA)が存在しています。この海域では、石油・天然ガスが豊富に埋蔵していると見られており、領有権問題を棚上げして、両国で共同開発を行う方向で協議が進められています。タイ側は、タクシン政権時代にこの考えに合意し、覚書の調印まで至りましたが、アピシット政権になってからこれを覆し、交渉は暗礁に乗り上げていました。昨年のインラック政権成立で再び交渉の機運が高まっていました。

 

今回の協議には、カンボジアはソク・アン副首相、タイはタイ石油公社の代表等が参加しました。

 

カンボジア領の海上油田の開発が遅れ気味で、商業生産開始が2016年と見られています。更に有望な地域であるOCAでのカンボジアとタイによる共同開発には、多くの期待が寄せられています。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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