アジアの"いま"

鈴木 博
2012/12/19 12:19
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12月17日に自動車部品製造大手の矢崎総業は、カンボジアのタイ国境近くにあるコッコン経済特別区で、ワイヤーハーネス(自動車用組電線)の新工場の開所式を開催しました。式典にはカンボジアのフン・セン首相や閣僚、黒木雅文日本大使など約3,000人が出席しました。工場では自動車用ワイヤーハーネスを生産し、製品は隣国タイに集積する日本の自動車メーカーの工場へ輸出・供給します。従業員は現在600人ですが、2015年に2000人、将来は3000人へ増やす計画です。人件費が急激に上昇するタイの工場を補完する生産拠点として、課カンボジアの工場を強化していく方針です。工場は、11 月に設立されたヤザキ・カンボジア・プロダクツ(資本金650万ドル:約5億4000万円)が運営します。

 

このような労働集約型の部品産業で、納入がタイ等の隣国にある形態は、カンボジアのメリットである低賃金とロケーションを最大限に活用するものです。特にコッコンは、タイ国境にあり、タイの東部臨海工業地帯との連結性も良好です。今回の投資は、雇用を増やし、輸出を増やし、輸出先・輸出品目の多様化を進めることでカンボジア経済の発展にも大きく貢献するものです。日系企業のこの種の投資が引き続き拡大することが期待されます。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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