アジアの"いま"

鈴木 博
2013/07/24 14:10
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国外に脱出していた救国党のサム・レンシー党首は、恩赦を受けて、7月19日にカンボジアへの帰国を果たしました。恩赦に当たっては、米国議会等からの圧力が働いたものと見られています。帰国したサム・レンシー党首は、空港から市内まで10万人とも言われる支持者にむかえられました。救国党は、領土問題や最低賃金の大幅引き上げを訴えており、「変えるか変えないか」をキャッチフレーズとしています。これに対し、与党人民党は、クメールルージュからの開放や、最近の経済成長の実績を訴えています。

 

5年に一度のカンボジア国民議会選挙は7月28日に投票される予定です。即日開票されますので、当日夜には各党の自主集計により大勢は判明するものと見られます。国家選挙委員会による公式集計は、8月10日に暫定結果発表、当選者が最終的に確定するのは、8月16日~9月8日のいずれかとなります。

 

選挙の見どころは、野党第1党の救国党が現有の29議席からどこまで伸ばすかとなります。内閣不信任案を提出可能な「30議席」、与党が国会の三分の二を占めることを防ぐ「42議席」等が勝敗ラインと見られています。

 

選挙キャンペーンは、多くの若者がバイクや車両を連ねて走り回るスタイルです。日本大使館では、選挙期間中の安全対策に関する注意喚起を出しています。選挙戦中のみならず、選挙後も議席が確定するまでは、不測の事態が起こることもあり得ますので、この期間にカンボジアにいらっしゃる方はくれぐれもご留意ください。

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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