アジアの"いま"

本間 聡
2012/02/10 19:03
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近年、多くの中小企業が国内市場縮小、極端な円高、納入先企業の国外脱出等の影響を受け、否応なくアジア諸国進出の検討に迫られています。
とりわけ、タイは歴史的に日系企業の生産拠点であり裾野産業が成熟しており、部品・原材料調達が容易なことから、水害発生以降も進出候補先の最有力として検討されています。
しかし、多くの企業は日経企業コミュニティが形成されていることから安心しきって、十分な事前調査を実施することなく、現地進出または適切でない企業と業務提携をして、問題を抱えています。
中には、一度も現地視察をすることなく、インターネットの情報や同業他社の話しを鵜呑みにして、タイ進出を検討している企業もあります。
多くの進出企業は構造的な人材不足に直面し、優秀なマネジャーやワーカーの採用に苦戦し、生産現場の品質管理等に問題が生じるケースも出てきています。
また、賃金上昇、駐在員費用上昇等も収益を圧迫する原因となり、当初、期待していたコスト削減を達成できないケースも増加しています。
一般的にアジア新興国で失敗する企業の共通点として、①事前市場調査の軽視、②現地業者(サプライヤー、販売代理店等)選定の失敗、③フィージビリティスタディを軽視した工場立地等を挙げることができます。
細心の事前準備をすることにより、現地でのリスク低減をすることは可能になります。
タイ進出をご検討される企業は「なぜ、タイに進出するのか」を冷静に再考すると同時に、単独進出の際はメリット、デメリットを考えながら、場合によっては現地企業との業務提携、委託生産等も柔軟に検討することが重要です。
既に進出した企業の中には生産部門の一部を別の国に移す企業もあり、生産設備に余裕のある企業も出てきていますので、他社の設備を利用することも可能です。
進出の際は全てを自社内で賄おうとせずに、外部リソースを有効利用しながら確実にプロジェクトを推進させてください。

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本間 聡
コンサルタント

ジャパンビジネスポータル有限責任事業組合(LLP) ディレクター


英国ブラッドフォード大学大学院(国際開発学修士)修了 日系コンサルティング会社、米国および英国政府経済開発機関にて経済開発業務(企業誘致、貿易開発、産学共同開発コーディネート等)を担当後、ジャパンビジネスポータルLLP(有限責任事業組合)設立に参加。現在、ディレクターとして中国、インド、アセアン諸国への日系企業の進出支援サービスに従事する。各国の現地パートナー企業との協同作業で顧客企業へ実務型支援サービスを提供している。

http://www.japanbusinessportal.com


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