アジアの"いま"

鈴木 博
2021/01/13 11:40
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 12月23日、日本貿易振興機構(JETRO)は、「2020年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」を公表しました。2020年8~9月、北東アジア5カ国・地域、東南アジア9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業に対する現地での活動実態に関するアンケート調査の結果となります。有効回答は5676社でした。調査結果は、営業利益見通し、今後の事業展開、新型コロナウイルス感染拡大の影響、経営上の問題点、原材料・部品の調達、輸出入の状況、通商環境の変化の影響、生産性・イノベーション・デジタル、賃金の9点にまとめられています。

 全体的には、アジア・オセアニアのすべての国・地域の景況感が調査開始以来、初めてマイナスとなりました。景況感を表すDI値は全体でマイナス40.7ポイントと、過去最低水準を更新しました。

 カンボジアについては、景況感を示すDI値が2020年はマイナス28.6ポイントに落ち込みしたが、2021年は25.0まで回復しています。今後1~2年の事業拡大意欲も、38.0%が拡大するとしており(20カ国中7位)、回復に向けた兆しが示されています。新型コロナの影響については、今年後半までにビジネス活動が正常化すると見る進出企業が80.3%を占めており、見通しの明るさが示されています。カンボジアでの経営上の問題点としては、原材料・部品の現地調達の難しさ、従業員の賃金上昇、税務等の負担、従業員の質等に加えて、取引先からの発注量の減少が挙げられています。
 製造業・作業員の給与年間実負担額(本給、諸手当、社会保障、残業、賞与などの年間合計。退職金は除く。)は、カンボジアは3280ドル(前年2989ドル)となっています。中国1万613ドル、タイ8135ドル、ベトナム4132ドル、ラオス3132ドル、ミャンマー2441ドル、バングラデシュ1848ドル等の周辺国と比べてみてもいまだに低いレベル(19か国中14位)にあります。カンボジアの相対的な低賃金は当面は引き続き優位性を維持するものの、「生産性からみた場合、所在国・地域の政府が設定する最低賃金は妥当な金額と思うか」との質問への回答は63.6%が「いいえ」であり、日系企業の不満・懸念が出ているものと見られます。

JETROの発表

https://www.jetro.go.jp/news/releases/2020/f2a455aa82cb1403.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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