アジアの"いま"

鈴木 博
2021/12/15 12:29
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 12月7日、日本貿易振興機構(JETRO)は、「2021年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」を公表しました。2021年8~9月、北東アジア5カ国・地域、ASEAN9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業に対する現地での活動実態に関するアンケート調査の結果となります。有効回答は4635社でした。調査結果は、営業利益見通し、今後の事業展開、通商環境の変化の影響、経営上の問題点、原材料・部品の調達、輸出入の状況、環境問題への対応、デジタル関連技術の活用と課題、サプライチェーンにおける人権に関する方針、賃金実態の10点にまとめられています。

 全体的には、「新型コロナ禍からの経済活動の再開に伴い、現地市場や輸出による売上増加を通じ、需要は回復。大半の国・地域で進出日系企業の景況感が改善。黒字企業の割合は一部の国・地域で新型コロナ前(2019年)を超えた」と分析しています。景況感を示す2021年のDI値は、過去最低だった2020年調査(△40.7)に比べ、プラスに転じた国・地域が多く、全体平均で19.8になりました。

 カンボジアについては、景況感を示すDI値が2021年はマイナス11.5ポイントに落ち込みしたが、2022年は62.3(20カ国中第1位)まで回復しています。今後1~2年の事業拡大意欲も、48.9%が拡大するとしており(20カ国中6位)、回復に向けた兆しが示されています。カンボジアでの経営上の問題点としては、従業員の賃金上昇、原材料・部品の現地調達の難しさ、人材の採用難、税務、取引先からの発注量の減少等が挙げられています。デジタル化については、カンボジアで現地スタートアップとの提携済と回答した日系企業の比率が9.8%(20か国中2位)、提携への意志・関心がある企業の比率が34.2%(20か国中4位)と今後のイノベーション振興に期待が高まっていると見られます。
 製造業・作業員の給与年間実負担額(本給、諸手当、社会保障、残業、賞与などの年間合計。退職金は除く。)は、カンボジアは3286ドル(前年3280ドル)となっています。中国1万2923ドル、タイ8531ドル、ベトナム4571ドル、ラオス2164ドル、ミャンマー2443ドル、バングラデシュ2102ドル等の周辺国と比べてみてもいまだに低いレベル(18か国中13位)にあります。カンボジアの相対的な低賃金は当面は引き続き優位性を維持するものと見られます。

JETROの発表

https://www.jetro.go.jp/news/releases/2021/7a141addc32f92a3.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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