インラック首相は3月13日の閣議で、緊急洪水対策として246のプロジェクトの承認を取り付けた。総予算は248億バーツになる。このプロジェクトは、タイ中部の農地を獲得し、洪水時の水を一時的に留めるための溜池を作る案である。この溜池の大きさは300万ライ(150万坪)で、この農地を所有する農家には補償金が支払われる事になる。まずは第一歩が踏み出された事を評価したい。
しかしBOT(タイ中央銀行)は、2013年度予算における赤字規模が洪水対策の3,500億バーツを加えて6,500億バーツになることについて、今年はやむを得ないとしながらも、来年度から予測されているGDP比3~4%の赤字増加が続けば、4~5年後にはGDP比60%の危険域に達すると警告を発し、一段の歳出削減を求めると同時に、徴税率の向上や景気拡大による歳入増を図るよう対応を求めた。さらに、税制優遇措置の導入に伴う歳入減に懸念を表明し、財政規律の維持を強く求めた。
タイ国税当局から見れば、日系企業は比較的に徴税しやすい企業群と見られている点もあり、且つ来年度より導入されるIFRS(国際財務報告基準)への対応を誤ると、格好の標的とされる事が懸念される。タイへ進出している日系各社は自社の経理部門の再評価を厳しくする必要性も感じている。